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◆不要家族◆ [本]


不要家族 (文春文庫)

不要家族 (文春文庫)

  • 作者: 土屋 賢二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫


土屋賢二先生の文章を初めて読んだ時の事は
よく覚えている。


それは、「週刊文春」に連載されたエッセイで、
おそらく10年以上前だったと思う。


その時の感情を一言で言うなら、「一読惚れ」。
「一目惚れ」という言葉はあるけれど、
たった一編のエッセイで、
「この人に付いていこう」と思うくらい、
その印象は強烈だった。


その時点で、先生に関する知識はゼロだったので、
すぐに調べた。
1944年生まれ、
東大の哲学科を出られて、
お茶の水大学の教授をされている、など、
基本的なデータも分かり、
その後すぐ、著書を購入した。
本はほぼ図書館で済ませている私には、
それは珍しい事と言えるし、
それだけ、「一読惚れ」の気持ちは強かったのだと思う。


以来、土屋先生の本は殆ど買っている。
私が先生の本を読んでいて、してしまう事の一つに、
読んでいる最中、
近くに親しい人がいると、
「ちょっとこの部分聞いて聞いて、笑えるから」と、
その人に、先生の文章の面白さを知らせたくなって、
読み聞かせてしまう所。


その人にしてみたら、
文章の途中の、短い部分を聞かされたって、
なんだかわけが分からないだろうけれども、
その面白さを、誰かと分かち合いたくてたまらない衝動に駆られるの(笑)。
で、その人に本を貸すと、
必ず先生のファンになってしまうという流れ。


初めて知った時は教授だった先生も、
定年を迎え、
今は名誉教授になられた。
退職前後の可笑しな出来事が、
この本に掲載されていて、やっぱり笑える。
先生に付いていこうと思う気持ちは、
今でも変わっていない。

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「DEAR WENDY ディア・ウェンディ」 [映画]

dearwendy.jpg
〔2005年/デンマーク〕


アメリカの炭鉱町。
この町の殆どの男が炭鉱で働く中、
小柄で腕力の無い少年・ジェイミー・ベルは、
近所の商店の店員になる。


この町で炭鉱以外の仕事は負け犬と同じ。
ベルはどこか鬱屈した気持ちを抱えている。


ある日、ベルは黒人家政婦の孫・ダンソ・ゴードンの誕生祝いに、
玩具の拳銃を買う。
しかし、ゴードンが嫌いなベルは、拳銃をプレゼントするのを止め、
嫌がらせのように本を贈る。


ところが、玩具だと思っていたその拳銃が、
実は本物な事を、友人・マーク・ウェバーから指摘される。
急に、自分に力が付いたような錯覚に陥ったベルは、
銃に「ウェンディ」という名前を付け、愛おしく思うようになる。


そして、ウェバーをはじめ、
町の「負け犬」と呼ばれる少年たちと、
秘密グループ“ダンディーズ”を結成、
全員が銃を持ち、炭鉱の地下で練習に明け暮れる。
しかし、それはあくまでも遊びであり、
「人を殺してはならない」という、
自分たちで決めたルールは絶対に守っていた。


ある日、ダンディーズにゴードンが加入する。
不良がかった彼は銃の扱いに慣れ、
ダンディーズのメンバーを魅了してゆく・・・。





アメリカが舞台なのに、
デンマークの映画というのが面白いなと思ったら、
「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアー監督が脚本を手掛けたという事だ。


拳銃を手にした途端、
何か不思議な自信が体にみなぎるような感覚に襲われる、
ジェイミー・ベルの気持ちが、
とても上手く表現されていて、
なんとなく分かる、という思いに駆られる。


もちろん私は本物の拳銃を手にした事はないけれど、
「もしここに拳銃があったら」と妄想した事が、
一度も無いとは言えない。
今すぐは使わなくとも、
持っていれば、いざという時に役立つかもと思ったりもする。
「いざという時」ってどんな時なのか、
そんな時が実際やって来るのか、
それは自分でも分からないけれども。


ベルたち、ダンディーズのメンバーは、
不良ではないし、
むしろ、他の少年達より大人しめな面子と言っていい。
だから、銃を手にした途端、
「強盗しようぜ」みたいな流れにはならず、
「僕らは平和のために、この銃を所持するんだ」と言う。


けれど、観ているこちらにしたら、
彼らは一所懸命に、その言葉を自分に言い聞かせているように感じられる。
一度手にした銃はもう、
静かに眠ってはいない。
早く火を噴きたくて、ウズウズしているようだ。


ダンソ・ゴードンがダンディーズに加わり、
初めてウェンディを触った場面は、
変な言い方だけれど、
とても色っぽく、不思議な気持ちにさせられた。


ゴードンは、銃の扱いに慣れているらしく、
「ふーん」といった感じで、
ウェンディの弾を入れる所(名称が分からない)を開けたり回したり、
臆する様子はまるでない。


その場面を、ベルは、
「ウェンディが喜んでいるように見えた」と表現する。
女の子が、女扱いになれた男の子と接して、
喜んでいるような、そんな感じ。
私から見ても、
ウェンディは、ゴードンの手の中で輝きが増したような気がしたもの。


ラストはちょっとショック。


評価 ★★★☆☆

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「マーヴェリックス 波に魅せられた男たち」 [映画]

MAVERICKS.jpg
〔2013年/アメリカ〕


カリフォルニア・サンタクルーズで、
母と2人暮らしのジェイ・モリアリティ(ジョニー・ウェストン)は、
幼い頃、海に流されそうになった所を、
フロスティ・ケッソン(ジェラルド・バトラー)に助けられ、
サーフィンを始める。


高校生になったジェイは、
フロスティを師と仰ぎ、
サーフィンだけでなく、
人生の全てについて教わる。


近く、海岸に現れる、
伝説の大波、「マーヴェリック」に挑戦したいと考えたジェイ。
その為には、
技術だけでなく、あらゆる面を鍛えなければだめだと、
フロスティはレポートの提出まで課す力の入れようだ。


また、私生活では、
恋や、
親友との確執、
不良学生とのいざこざ、
母を捨てた父、などなど、
様々な出来事に直面する。


いよいよ「マーヴェリック」がやって来た。
ジェイは伝説の大波の乗る事ができるのか・・・。





有名なサーファーの実話だそうだ。


特筆すべき点が頭に浮かばない、
平凡な内容。
どのエピソードも、なんだか中途半端で、
上っ面だけな気がする。


恋にしても、友情にしても、
家族の問題にしても、
どれか一つ深く掘り下げていたら、
もっと味わい深い内容になっていた気がするんだけど、
サーフィンに重きを置きたかったのか。


それから、要らんエピソードも多い。
例えば、練習中に鮫に遭遇するとか。
どんな場合もパニックになるなと言いたい場面なのだろうが、
鮫である必要もないような。
そんなもんが登場したら、
その後、あの鮫が何かしでかすのかと思っちゃうのは私だけか。


サーフィン映画というと、
明るい太陽の真下ってイメージがあるけど、
この映画は、なんだか暗い。
海も特別澄んでいるわけでもなく、色合いは重い。


そういえば、
ジェイは、生き別れた父親からの手紙を、
何年も開封できずにいて、
映画の終わりの頃、初めて読むのだけれど、
その文面も、よく分からなかった。


実話って意外と難しいのかも。
父から手紙が来たのは事実としても、
きっとその内容を知っている人は、
本人だけだろうし、
(そんな私信を他人に見せるとも思えない)
そのご本人も22歳で亡くなったという事なので。


評価 ★★★☆☆

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「二流小説家 シリアニスト」 [映画]

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〔2013年/日本〕


売れない小説家・上川隆也は、
連続猟奇殺人の犯人で服役中の武田真治から、
告白本の出版を依頼する手紙を受け取る。


その本が売れれば、名前が売れるのは必至、
迷いはあったが、結局、武田に面会にいく上川。


武田は、4人の女を殺しては、
その首を切り落とし、
写真に撮っては、警察に送りつけるという手口を繰り返し、
死刑判決を受けていた。


武田が、上川に告白本を出させるのは、
条件があった。
自分を主人公にした官能小説を書けと言うのだ。
相手役の女は、
武田に熱心な手紙を送ってくる、信者3人。


銀行員・AV女優・引きこもり。
それぞれの女を訪ねた上川だったが、
彼女たちは、武田が逮捕された時と全く同じ状態で、
殺される。
武田は本当に犯人なのか。
上川を呼びつけた理由は何なのか・・・。





元々、アメリカの小説だった本作を、
舞台を日本に移して映画化した作品だそうだ。


猟奇殺人者だという、
武田真治の演技を、とても面白いと思った。
正常と狂気の間をギリギリ行き来するような、
その危うい感じ。
ちょっと大げさな感じもしたけど、
それくらいじゃないと、観る者に伝わらないのかもしれない。


そして、彼のようなモンスターが輩出された理由も納得できるという、
悲しく、切なく、でもどこか甘美な、生い立ち。


さらに、上川隆也の、まったく冴えない、
売れない小説家風情が、
武田真治の個性とぶつかり合って、
面白い空気感を醸し出していた。


なにせ上川は、
自分の姪っ子にさえ敬語しか話せないような、
自信無さげな男で、
小説は女名前の方が売れるという理由で、
母親の名前を著者にしてしまうような、
頼りなさ。


ただ、事件が解決に近づくにつれ、
彼も強くなっていくんだな。
警察に自分の推理を話したり、
武田に強い口調で話し掛けたり。
彼だって、いつまでも負けっぱなしじゃいられないものね(笑)。


難を言えば、
ある場面で、「それは日本では無理があるでしょ」と
思われる箇所がある事。
まぁ、面白ければ、多少の事はいいんだけど。


上川の母親を、賀来千香子が演じていて驚いた。
以前に亡くなったという設定らしいけど、
それは少なくとも、
上川が小説家になった後のようだし、
なぜに彼女?って。


評価 ★★★☆☆

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「ダニー・ケイの新兵さん」 [映画]

DannyKayenoshinpeisan.jpg
〔1944年/アメリカ〕


医療ビルでエレベーターボーイをしているダニー・ケイ。
彼は病気ノイローゼで、
常に自分の体のどこかが悪いと信じ切っており、
医師が沢山乗り込んでくる、そのエレベーターは、
理想的な場所なのだ。


彼は看護婦のコンスタンス・ダウリングに熱烈に恋しており、
彼女も自分を好きだと信じて疑わなかった。
その為、ケイに思いを寄せている、
ダイナ・ショアの気持ちには気付かずにいる。
けれど、ダウリングは、
ケイの同居人で親友のダナ・アンドリュースと
密かに愛し合っているという、四角関係。


ある日、召集令状が届き、
ケイとアンドリュースは、出兵する事になる。
さらにダウリングとショアも、
女性兵士として、同じ船に乗る事になり、
船上は、ケイのせいで大騒ぎに・・・。





谷啓さんの芸名が、
ダニー・ケイをもじったものだとは、
以前から知っていたけれど、
ご本人を見るのは初めて。
この映画は、ダニー・ケイの映画デビュー作という事だ。


きっと、公開された当時は、
観客の皆さんは大笑いしたのだろうが、
今観ると、やっぱり古い。
古いというより、この手の笑いは見慣れすぎてしまって、
何も感じなくなっているのかもしれないな。


ダニー・ケイが、あまりに空気が読めず、
周囲の人が可哀相になってくる。
特に、ダイナ・ショア。
彼女はダニー・ケイに思いを寄せているのに、
彼がコンスタンス・ダウリングに恋するあまり、
ショアを相手に、
プロポーズの練習までしている。
それはないよね。


船上でのドタバタが続いたあと、
彼らは、ある島に辿り着くのだけれど、
そこは、日本軍の基地となっていて、
変な日本人がたくさんいる(笑)。


ダニー・ケイは、「おいでなさい」という言葉を覚えて、
日本人兵士に、何度も、
「オイデナサーイ」と言う。
兵士は、ダニー・ケイを上官と間違えて、
付いてゆくという流れ。


軍隊の上官が、
「おいでなさい」って、
初めて聞いた(笑)。
その場面はちょっと笑った。


評価 ★★★☆☆

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